【朗希の36球】令和の怪物-ドジャース佐々木朗希、ポストシーズンで歴史的3イニングパーフェクト!

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【朗希の36球】令和の怪物-ドジャース佐々木朗希、ポストシーズンで歴史的3イニングパーフェクト! 佐々木朗希

ロサンゼルスの夜空に、誰もが息を殺すほどの緊張感が満ちていた。野球の最高峰、メジャーリーグのポストシーズン。ドジャースタジアムのボルテージは最高潮に達し、勝利への渇望がこだまする。そんな極限の舞台で、背番号11、佐々木朗希投手がマウンドに姿を現した瞬間、スタジアムは熱狂の渦に包まれた。「ローキ!ローキ!」――その大コールは、ドジャースファンが若き守護神に寄せる絶大な信頼の証であった。

右肩の故障という試練を乗り越え、シーズン終盤にブルペンの一角として覚醒した「令和の怪物」。彼がこの夜、わずか36球で描いた完璧なる芸術は、MLBの歴史に名を刻むレジェンドたち、そして共に戦う同僚たちをも言葉を失わせた。23歳の若者が神聖から絶対的象徴へと変貌を遂げた奇跡の3イニング。この記事では、佐々木朗希投手がポストシーズンで成し遂げた伝説的なパーフェクト投球、そして彼に向けられた世界中の称賛の声に深く迫っていく。佐々木朗希投手のドジャースでの衝撃的なリリーフ登板やMLBレジェンドたちの驚愕の声についてはこちらの記事もご覧ください。

【朗希の36球】令和の怪物-ドジャース佐々木朗希、ポストシーズンで歴史的3イニングパーフェクト!

緊迫のポストシーズン、ドジャースの命運を託された佐々木朗希

試合は1対1の同点。ドジャースが7回裏に大谷翔平選手への申告敬遠から生まれた満塁のチャンスでムーキー・ベッツ選手が押し出しの四球を選び、ようやく追いついた直後だった。流れはドジャースに傾きかけたかに見えたものの、フィリーズの打順は、この試合で最も警戒すべき中軸へと繋がる。この流れを断ち切り、逆転への気運を完全に封じ込めること。それが8回のマウンドを託された佐々木朗希投手の唯一にして最大の使命であった。

メジャーリーグの舞台に立つこと自体が偉業だが、佐々木朗希のMLB初登板での圧巻のピッチングは、その最も痺れる局面で、しかもチームの命運を託されるプレッシャーは想像を絶する。しかし、佐々木投手の瞳はこれまで以上に鋭い光を放ち、その表情に一切の動揺は見られなかった。彼がマウンドへ足を進めるたびに、期待、信頼、そして熱狂の渦がスタジアム全体を覆い、ドジャースファンは彼こそがこの窮地を救う英雄だと確信していた。

脅威の8回!フィリーズ強力打線をわずか8球で封じ込める

佐々木朗希投手の前に立ちはだかる最初の打者は、ナショナルリーグで最多本塁打を放ったリーグを代表するスラッガー、カイル・シュワーバー選手だった。前日の第3戦でドジャース投手陣から2本塁打を放ち、その破壊力を見せつけたばかり。一発が出れば試合の均衡は再び破られると誰もが感じていたが、マウンド上の佐々木投手はあくまで冷静だった。

カイル・シュワーバーとの対決:リーグ最強打者を翻弄

静かにセットポジションに入ると、佐々木投手はシュワーバー選手に対し、外角低めに鋭く沈むスプリットで対決を開始した。続く2球目。サインに頷くと、佐々木投手の右腕がしなやかに、そして力強く振り抜かれる。放たれた剛球はまるでレーザービームのような軌道を描き、キャッチャーミットに突き刺さった。98.8マイル(約159.0km)のフォーシーム。ほぼ真ん中への力でねじ伏せる一球に、シュワーバー選手は打ち返すも力負けし、打球はライトフライに。わずか2球で、佐々木投手はリーグ最強の本塁打王をいとも簡単に打ち取って見せた。ワンアウト。

この試合を中継していたスポーツ専門局TNTスポーツの実況ブライアン・アンダーソン氏は、この場面で佐々木投手の経歴を視聴者に紹介し、「信じられないような物語の持ち主です。佐々木はまだ23歳。シーズン途中には肩の故障でマイナーリーグで苦しむ時期もありましたが、9月に見事に調子を取り戻し、今やブルペンの全体的な武器としてこの大舞台に君臨しています」と、彼の逆境を乗り越えた強さを強調した。

ブライス・ハーパーとの激闘:MVPスラッガーを完璧に抑え込む

そして打席には、2度のシーズンMVPに輝き、将来の殿堂入りが確実視されるスーパースター、ブライス・ハーパー選手。彼の存在感は、打席に立つだけでスタジアムの空気を変える。ハーパー選手がバッターボックスに入った瞬間、ドジャースタジアムの熱狂はこの日最高潮に達した。「ローキ!ローキ!ローキ!」――背番号11へ送られる大歓声は、もはや単なる応援ではなかった。それは強大な敵に立ち向かう英雄への祈りであり、勝利への渇望そのものだった。

大歓声の叫びを背中に受け、佐々木投手はハーパー選手と対峙する。ここでも彼は冷静だった。変化球主体で巧みにカウントを稼ぎ、追い込んでからの決め球は鋭く曲がり落ちるカットボール。ハーパー選手は必死に食らいつくが、打球は力なく上がりサードフライに。ツーアウト。リーグを代表するスター選手を完璧に打ち取った。この投球に解説を務める元ゴールドグラバーのジェフ・フランコア氏は驚きを隠せない様子で語った。「今ブライス・ハーパーがあの佐々木のスプリットに手を出したという事実。それだけで彼のボールがいかに凄まじい動きをしているかが分かります。何度も言いますが、彼のスプリットは他の多くの投手とは全く違うレベルにあります。少し動くというような生易しいものではない。彼のボールは打者の手元で文字通り落ちて行くのです」。フランコア氏の言葉は、佐々木投手のボールの唯一無二性を的確に表現していた。メジャーの超一流打者でさえその軌道を見極めることができない魔球。その存在が佐々木投手の投球を絶対的なものにしていた。

アレク・ボームをねじ伏せる:衝撃の100マイル超え

ツーアウトとなり打席には4番アレク・ボーム選手。勝負強さを兼ね備えたクラッチヒッターだが、もはや佐々木投手の勢いを止められるものは誰もいなかった。佐々木投手はこの日最速となる一球をボーム選手のインコースに投げ込んだ。電光掲示板に表示された数字は100.7マイル(時速約162.0km)。もはや暴力的なまでの剛速球に、ボーム選手のバットは完全に押し込まれ、打球は力ないセカンドゴロに終わった。スリーアウトチェンジ。わずか8球。佐々木朗希投手はナショナルリーグ屈指の破壊力を誇るフィリーズの中軸打線を完璧に、そして圧倒的に封じ込めたのである。

ドジャースタジアムは割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。ベンチへと引き上げる若き右腕に、5万6000人のファンが総立ちで賛辞を送る。実況のアンダーソン氏は興奮気味にこう伝えた。「ローキ・ササキ、ブルペンの最後を今のところこれ以上ない形で締めくくっています」。ドジャースの地元局NBCロサンゼルスの記者マイケル・ドアルテ氏は自身のSNSに「もしロキ・ササキがいなかったら、ドジャースのこのポストシーズンは一体どんなことになっていたんだ」と綴り、専門メディアドジャース・ネーションのバレンティーナ・マルティネス記者も即座に「ローキ・ササキが8回を3者凡退に抑えた。彼は10月という最高の舞台で輝きを放ち続けている」と反応した。この完璧な8回の投球は、これから始まる伝説のほんの序章に過ぎなかったのだ。

異例の続投、9回もパーフェクト!チームを救う「最強のクローザー」

8回を完璧に抑えた佐々木投手。通常であれば彼の仕事はここで終わりのはずだった。しかし、ロバーツ監督の決断は違った。同点のまま迎えた9回の表、背番号11は再びマウンドへと向かったのである。メジャーリーグに来てから、いや、彼のプロキャリアにおいて、リリーフでの複数イニング登板はこれが初めての経験であった。未知の領域への挑戦、疲労、集中力の維持、そして相手打者も2巡目の対策を練ってくる可能性。様々な困難が予測される中での続投。しかし、ロバーツ監督には確信があった。「今の佐々木ならば、この偉業を成し遂げられる」と。

この采配について後にNHKの解説を務めた小早川武彦氏は驚きと共にこう語っている。「私には考えられませんでした。こういう起用があったのかと。なので8回からマウンドに送った時には『え?』と思ったんですけど、監督の中にはこういう複数イニングを任せるという考えが最初からあったのかもしれません。そうだとしたら私はロバーツ監督、さすがだなと思います」。指揮官の絶大な信頼を背負い、佐々木投手は9回のマウンドに立つ。

ブランドン・マーシュを圧倒:100マイル超えのストレート

先頭は5番ブランドン・マーシュ選手。力強いスイングが持ち味の左打者だ。佐々木投手はここでも臆することなく、自身の剛速球で勝負を挑む。100.1マイル(約161.1km)のストレート。マーシュ選手のバットは完全に力負けし、打球はセカンドへの平凡なゴロに。ワンアウト。

J.T.リアルミュートとの心理戦:芸術的な投球コンビネーション

続く打者は6番J.T.リアルミュート選手。攻守にわたりメジャー最強捕手と称される連戦連場のベテランだ。佐々木投手はこのリアルミュート選手に対し、自身の投球の真骨頂を見せつける。初球スプリットがボール。2球目スプリットがストライク。3球目スプリットがファウル。3球続けて高速スプリットを投じ、打者の目線を徹底的に下げさせる。そして追い込んでからの4球目。佐々木投手が選択したのは剛速球だった。内角低め寸分の狂いもなくコントロールされたフォーシーム。その球速100.2マイル(約161.2km)。リアルミュート選手のバットはボールのはるか上を虚しく切り裂いた。空振り三振。

この驚異の投球コンビネーションにTNTスポーツの解説ジェフ・フランコア氏はもはや感嘆のため息を漏らすしかなかった。「信じられないですね。打者に対してまず3球続けて88マイルのスプリットを投げ込み幻惑させる。そしてその直後に100マイルを超える速球をアウトサイドに完璧に決める。これでは打者はほとんど何もすることができません。ただただ脱帽です」。実況のブライアン・アンダーソン氏も興奮を隠せない。「100マイルの速球で完全に圧倒しました!まさに剛と柔、力と技。その両方を完璧に兼ね備えた芸術的なピッチング」。この三振でドジャースタジアムのボルテージは再び沸点に達し、割れんばかりのローコールが球場内にこだました。

ブルージェイ・セグラを締め出す:支配的な3者凡退

ツーアウトとなり打席には7番ブルージェイ・セグラ選手。佐々木投手は最後の力を振り絞り、圧倒的な3者凡退でこのイニングも締めくくった。6人の打者に対し一人の走者も許さない。胸を張り堂々とした足取りでベンチへと引き上げていく佐々木投手の姿は、もはやルーキーのそれではなく、チームの命運を一心に背負う絶対的エースの風格を漂わせていた。

アンダーソン氏はその効率的な投球を絶賛した。「ルーキーの佐々木投手は、6人の打者を相手に6つのアウトを奪いました。これ以上効率的な投球はありえません」。オリックスやメジャーリーグで活躍した長谷川滋利氏はJスポーツの解説で佐々木投手の投球を技術的、精神的な側面から分析した。「今チームで一番いい投手を、試合で一番重要な場面で投入する。当然の采配ですね。何よりストレートのスピードが戻ってきたという自信が、彼のピッチングを別次元のものにしています。シーズン中に少し休んで、こうして最高の状態で戻ってきてくれて本当に良かった。今の彼からは打たれる雰囲気が全く感じられません。完璧です」。長谷川氏の言う通り、球速という絶対的な武器を取り戻した佐々木投手は精神的にも揺るぎない自信を手に入れていた。その自信がポストシーズンという極限状況で彼をさらに高いステージへと引き上げていたのである。

伝説への扉を開く10回!3イニングを完璧に投げ抜いた不屈の精神

試合は1対1の同点のまま延長戦に突入した。9回裏、ドジャースは得点できず、勝利の行方は10回以降に持ち越された。そして、誰もが予想だにしなかった光景がドジャースタジアムに広がった。延長10回のマウンドに、背番号11、佐々木朗希投手の姿があったのだ。3イニング目。リリーフ投手としては異例中の異例。特に彼が右肩の故障明けであることを考えれば、常識では考えられない起用であった。しかし、ロバーツ監督の決断はもはや揺るがなかった。この試合の命運は最後までこの若き日本人に託す――その強い意志がこの続投に込められていた。

この采配にはスタンドのファンも、そしてメディアも誰もが度肝を抜かれた。しかし、それと同時に誰もが納得していた。今の佐々木投手をマウンドから下ろすという選択肢はもはや存在しなかったのだ。3イニング目のマウンドに上がった佐々木投手。彼の表情に疲労の色は見えない。その瞳はこれまで以上に鋭い光を放っている。

先頭打者は8番ニック・カステラノス選手。7回にフィリーズに先制点をもたらすタイムリーを放っている当たっている打者だ。佐々木投手はカステラノス選手に対し、高速スプリットで勝負する。打球は詰まらされサードゴロに。ワンアウトを奪う。続く9番ブライソン・ストット選手。佐々木投手は98.9マイル(約159.1km)の力強いフォーシームで空振り三振に切って取る。ツーアウト。3イニング目に入っても球威は全く衰えを知らない。

運命の打者、トレア・ターナーとの最終対決:歴史を刻む一球

そして運命の最後の打者としてバッターボックスに向かうのは、1番トレア・ターナー選手。今シーズンのナショナルリーグ打者の中で俊足強打で鳴らし、ディビジョンシリーズ第2戦では佐々木投手が最後に抑え込んだ因縁の相手でもある。リーグ最高のヒットメーカーと、このポストシーズン最高のクローザーとの3度目の対決。佐々木投手はターナー選手に粘られ、ファウルでカウントを稼がれフルカウントに。球数は30球を超え、肉体的にも精神的にも限界に近い状態のはずだった。

しかし、彼の集中力は全く途切れなかった。キャッチャーのサインに頷き、佐々木投手が投じたこの日36球目。最後の力を振り絞って放たれた剛球は外角低めへと吸い込まれていく。99.7マイル(約160.4km)のフォーシーム。ターナー選手のバットが振り抜かれるが、ボールはわずかに芯を外し、ライト方向へ高く舞い上がった。その打球をドジャースのライトがっちりと掴んだ。スリーアウト。

その瞬間、ドジャースタジアムはこの日一番の大歓声に包まれた。3イニング、打者9人、投球数36球、被安打0、与四球0、奪三振2。パーフェクトピッチング。文字通り一人の走者も許さない完璧な投球。佐々木朗希投手は、メジャーリーグのポストシーズンという最高の舞台で、野球史上でも稀に見る驚異のリリーフパフォーマンスを成し遂げたのだ。

ベンチへと戻る佐々木投手を、チームメイトたちはまるで優勝したかのような熱狂で出迎えた。そしてダッグアウトの前に歩み出てきたロバーツ監督は、感極まった表情で若きヒーローを力強く抱きしめた。それは言葉にならないほどの感謝と最大限の賛辞が込められたハグであった。引き締まった表情でその出迎えを受けた佐々木投手は、ベンチの仲間たち一人ひとりと力強くタッチを交わした。

この魂の投球に、現地メディアは最大級の賛辞を送った。米メディアドジャース・ネーションのノア・カミュラ記者は興奮を抑えきれない様子で即報した。「ローキ・ササキは8回から登板し、3イニング連続でフィリーズを完全に完璧に抑え込んだ。この23歳のルーキーを特別という言葉で表現するのはあまりにも控えめすぎる。このルーキーは本当に本当に信じられない存在だ。もしドジャースがこの試合に勝てば、シリーズMVPは間違いなく佐々木だ」。NHKの解説小早川武彦氏も放送席でその感動を隠さなかった。「鳥肌が立っています。このポストシーズンという厳しい状況でこのピッチング。素晴らしいですよね。本当に素晴らしい」。もはやシーズン中に球速の低下に悩み、悔しさからベンチで目を潤ませていたかつての彼の姿はどこにもなかった。そこにいたのは逆境を乗り越え、心身ともに成長を遂げた真の怪物。ドジャースの、そしてメジャーリーグの新たな伝説が誕生した瞬間であった。

「彼は生まれながらの勝者」MLBレジェンドたちが称賛する佐々木朗希の異次元の才能

佐々木朗希投手が披露した歴史的な3イニングパーフェクト。その衝撃はドジャースタジアムを飛び越え、全米の野球ファン、そして球史に名を刻む偉大なレジェンドたちの心をも揺さぶった。彼らはそれぞれの視点から、この若き才能がいかに規格外であるかを語り始めた。

デレク・ジーター:精神力の強さに脱帽

まずはニューヨーク・ヤンキースの黄金時代を築き、史上最高の遊撃手と称されるデレク・ジーター氏。彼はポストシーズンという舞台の重みを誰よりも知る男である。「ポストシーズンの野球はレギュラーシーズンとは全くの別物だ。一つのプレー、一つの投球がシリーズの流れを完全に変えてしまう。あの1対1の同点、8回からの3イニングという息もできないようなプレッシャーの中で、彼は何を考えてマウンドに上がったのだろうか。23歳の若者がだ。私が見て最も驚いたのは、彼の技術やボールの威力ではない。この状況で完璧なまでに自分をコントロールし、淡々と仕事を遂行したその精神力だ。あれは長年プレーしたベテランでもできることではない。彼は生まれながらの勝者。Born Winnerだ。ヤンキースタジアムのピンストライプを着てプレーする姿を見てみたかったとさえ思わせる何かを持っている」。ジーター氏は、佐々木投手の類稀な精神力を何よりも高く評価した。

アレックス・ロドリゲス:打者目線で語る“悪夢”の投球

同じくヤンキースで一時代を築き、通算696本塁打を放ったスーパースター、アレックス・ロドリゲス氏は、打者としての視点から佐々木投手の投球の絶望感を語る。「打者にとって最も厄介なのは的を絞らせない投手だ。佐々木の場合、100マイルを超えるフォーシームと90マイル近い速度で垂直に落ちるスプリット。この二つを同じ腕の振りで投げてくる。打席から見れば、ボールがリリースされてから半分くらいまで、両者の軌道はほとんど同じに見える。これはもう打者からすれば悪夢だよ。どちらかに山を張るしかないが、それはただのギャンブルだ。しかも彼はそれを寸分の狂いなくコーナーに投げ分けるコントロールまで持っている。正直に言おう。私でも打てた自信はない。彼を打つためのミーティングはおそらく1時間あっても結論は出ないだろう。グッドラック。それしか言えない」。

デビッド・オルティズ:プレッシャーを楽しむ勝負師のハート

ボストン・レッドソックスの英雄であり、史上最強のクラッチヒッターと歌われたデビッド・オルティズ氏は、佐々木投手の持つ勝負師としての資質を絶賛した。「ビッグパピが教えてやる。野球で一番大事なのはハートだ。どれだけ良いボールを持っていても、一番やばい場面で腕が縮こまるやつは一流にはなれない。だが、ローキはどうだ?試合で一番タフな場面、最強のバッターを相手にした時にこそ、彼は一番えぐいボールを投げ込んでくるじゃないか。シュワーバー、ハーパー、ターナー。相手が強ければ強いほど、彼のボールは輝きを増していた。あれはアドレナリンを完全に味方につけている勝者だ。彼はプレッシャーを楽しんでいるんだ。ああいうピッチャーこそ、本当のクローザーにふさわしい」。

ペドロ・マルティネス:パワーと技巧を兼ね備えたクレバーなアーティスト

そして伝説的な投手たちも、この日本の若者に最大級の賛辞を送る。サイ・ヤング賞を3度受賞し、「宇宙人」とまで呼ばれたアメリカの英雄ペドロ・マルティネス氏はその舌を巻いた。「パワーとフィネス(技巧)の両立。これこそが偉大な投手になるための条件だと佐々木は、その両方を23歳という若さですでに最高レベルで兼ね備えている。101マイルの速球は見るものを魅了するパワーの象徴だ。しかし私が真に感銘を受けたのは、彼のスプリットのコマンド(制球力)だ。あのボールをストライクゾーンからボールゾーンへと意のままに落とすことができる。あれがあれば打者はゴロを打つか空振りするしかない。そして速球で打者の目線と意識を上げ、スプリットで仕留める。この基本的な投球の組み立てが、彼の年齢では考えられないほど洗練されている。彼はただのパワーピッチャーではない。クレバーなピッチングアーティストだ」。

ランディ・ジョンソン:マウンドの支配者、無言のプレッシャー

史上最高のサウスポー投手の1人であり、その圧倒的な身長と球威から「ビッグユニット」の異名を取ったランディ・ジョンソン氏も、その支配力を認める。「打者を支配するために必要な要素はいくつかある。球威、そして相手に恐怖心を与える何かだ。彼のオーバーハンドから投げ下ろされる100マイルの速球と鋭く落ちるスプリットのコンビネーションは、打者にとって極めて打ちにくい角度を生み出している。そして何より、彼はマウンド上で一切の感情を見せない。あのポーカーフェースが打者にとっては不気味だろう。何を考えているか読めないし、少しも隙を見せない。それは相手に無言のプレッシャーを与える投手にとって非常に重要な資質だ。彼がマウンドにいると空気が変わる。それはごく一部の支配者だけが持つ特別なオーラだ」。

グレッグ・マダックス:隠された真の価値、驚異的な投球効率

そして「精密機械」と称された史上最高のコントロールピッチャー、グレッグ・マダックス氏は、他のレジェンドとは異なる視点から佐々木投手を分析した。「誰もが彼の100マイルの速球と魔球スプリットに注目するが、私が最も評価したいのは彼の投球効率だ。3イニングをわずか36球で投げ抜いた。1イニング平均12球。これは驚異的な数字だ。無駄なボールが一切なく、早いカウントで打者を打ち取っている証拠だ。彼は決して力任せに三振を取りに行っているわけではない。相手打者の狙いを読み、最も効率的な方法でアウトを積み重ねている。それは最高の投球術だ。派手な球速の裏に隠されたこのクレバーさこそが、彼の真の価値だと私は思う。彼ならば年間を通してブルペンを支えることができるだろう。なぜなら、彼は自分の腕をどう使えば長持ちするかを本能的に理解しているからだ」。

球界を彩る偉人たちが揃って認めた才能。佐々木朗希投手の投球は、もはや一つの試合の結果を超え、野球というスポーツの歴史の中で語り継がれるべき普遍的な価値を持つものとして、伝説の域に達したのである。

チームメイトが語る「最高の宝」「ゲームチェンジャー」佐々木朗希への絶大な信頼

佐々木投手への称賛の声は、外部のレジェンドたちからだけではなかった。彼と共に戦い、その凄まじさを最も間近で見てきたドジャースのチームメイトたちもまた、この若き日本人投手に絶大な信頼と尊敬の念を抱いていた。

タイラー・グラスノー:安心感を与える存在

この日、7回途中まで無失点の好投を見せ試合を作った先発投手のタイラー・グラスノー選手は、佐々木投手の救援に感謝の言葉を述べた。「僕がマウンドを降りた後、試合は本当にタフな展開になった。でも8回にローキがマウンドに向かうのを見て確信したよ。これでもう大丈夫だとね。彼が後ろに控えてくれていると思うと、僕たち先発投手は安心して自分の仕事に集中できる。僕が作った1対1の同点の流れを、ローキが完璧以上の形で未来につないでくれた。彼は僕たちの、そしてこのチームの最高の宝だ。この3イニングは僕が今まで見た中で最も支配的なリリーフピッチングだったよ」。

ブレイク・スネル:ブルペンで見る“裏技コード”

昨年のサイ・ヤング賞投手ブレイク・スネル選手は、ブルペンで見る佐々木投手のボールの異次元さを冗談混じりに語った。「ブルペンで彼のウォーミングアップを見ているだけで笑いが込み上げてくる時があるんだ。一体どうやってあのボールを打てって言うんだ。まるでビデオゲームの世界だよ。100マイルのストレートがまるでキャッチボールみたいにミットに収まって、次の瞬間には重力に逆らうようにスプリットが消える。僕らは彼を『ザ・チートコード(裏技コード)』って呼んでるんだ。彼がマウンドに上がれば試合はもう終わったようなものさ。彼は本物のゲームチェンジャーだ」。

クレイトン・カーショー:チームの未来を担う人間性

そしてドジャースの生きる伝説であり、チームの精神的支柱でもあるクレイトン・カーショー選手は、佐々木投手の成し遂げたことの偉大さを父のような温かい眼差しで語った。「彼の年齢でこのポストシーズンという舞台であれだけのパフォーマンスを継続して見せることは、我々ベテランの想像をはるかに超えている。特に今日の3イニングは、彼のキャリアを定義付けるような特別な登板になっただろう。彼はただ才能に恵まれているだけではない。誰よりも熱心に野球に取り組み、常に謙虚な姿勢を忘れない。その人間性こそが彼を特別な存在にしているんだ。彼を見ていると僕自身の若い頃を思い出すよ。いや、彼は僕の若い頃よりもずっとすごいかもしれないな。彼はドジャースの輝かしい未来、そのものだ」。チームメイトからの言葉は、佐々木投手が単なるすごい投手ではなく、チームにとって不可欠な、心から信頼される仲間であることを証明していた。

苦難を乗り越え、伝説へ:佐々木朗希のポストシーズンロード

この歴史的な夜に至るまで、佐々木朗希投手のポストシーズンでの道のりは、まさに伝説への序章と呼ぶにふさわしいものだった。彼がブルペンに配置転換されたのは、右肩の故障からの復帰後、シーズンも終盤に差し掛かった9月のこと。当初はその起用法に疑問を呈する声も少なくなかった。しかし、彼はマウンドでの「結果」という最も雄弁な言葉で、その全ての声を称賛へと変えていった。

彼のポストシーズンデビューは10月1日、レッズとのワイルドカードシリーズ第2戦。チームが4点リードした9回にマウンドへ上がると、危なげなく相手打線を3者凡退に封じ、試合を締めくくった。佐々木朗希のポストシーズン初登板の詳細はこちら。この時すでに、彼のボールはレギュラーシーズンとは別次元の輝きを放っていた。そしてこのフィリーズとのディビジョンシリーズ、彼の存在価値は試合を重ねるごとに増していった。10月4日に行われた第1戦で2点リードの9回を抑え、ポストシーズン初セーブを記録した際の速報はこちら。10月6日の第2戦では彼の進化が最も厳しい形で問われることとなる。4対3と1点差に詰め寄られ、なおも二死一・三塁、一打逆転サヨナラという絶対絶命のピンチ。打席にはあの強打者トレア・ターナー選手。球場全体がフィリーズの逆転劇を期待する完全なアウェーの雰囲気の中、佐々木投手はマウンドに上がった。しかし彼はこの極限のプレッシャーをものともせず、ターナー選手を力のないセカンドゴロに打ち取り、チームに勝利をもたらした。2試合連続のセーブ。この瞬間、彼はドジャースのブルペンに欠かせない絶対的な存在であることを証明した。

ロバーツ監督はシリーズを通して佐々木投手について、「現時点では彼が最優先の選択肢だ」と絶大な信頼を口にしていた。しかし同時にこうも語っている。「毎試合彼に抑えを務めさせるのは現実的ではない。右肩の故障明けであることや、リリーフの経験がまだ浅いことも考慮しなければならない。彼の起用法は慎重に、そして固定はせずに柔軟に対応していく」。それは彼の未来を考えた上での慎重な配慮であった。しかしこの日の3イニング続投という采配は、その方針を超えるほどの緊急事態、そして佐々木投手への絶対的な信頼の現れだった。ロバーツ監督は短期決戦を勝ち抜くために、今持てる最大最強のカードを切ることを選んだ。そして佐々木投手はその期待に、100点満点、いや200点満点の答えで応えて見せたのである。

まとめ:令和の怪物が刻んだ新たな伝説

1対1の同点のまま延長11回に突入した試合は、その裏ドジャースが劇的なサヨナラ勝ちを収め、リーグチャンピオンシップシリーズへの進出を決めることとなる。その勝利の最大の立役者が佐々木朗希投手であったことは言うまでもない。

この夜、佐々木投手がドジャースタジアムのマウンドに刻んだ3イニング36球のパーフェクトピッチングは、単なる1試合の好投として記憶されることはないだろう。それは一人の若き投手が自らの力で運命を切り開き、メジャーリーグの歴史にその名を刻んだ伝説の始まりとして語り継がれていく。右肩の故障という苦難を乗り越え、彼はかつてないほど強く、そして逞しくなって帰ってきた。この右腕から放たれる162kmの剛球は見る者の心を打ち抜き、打者の手元で突然と消える魔球スプリットは相手の希望を打ち砕く。ドジャースタジアムに響き渡った地鳴りのような「ローキ」コール。それはロサンゼルスのファンが、新たな英雄の誕生を心から祝福する勝利の凱歌であった。

佐々木朗希投手の物語はまだ始まったばかり。この衝撃的な夜は、彼がこれから築き上げていくであろう、さらに偉大な伝説へのほんの序章に過ぎない。(参照:MLB公式サイト)


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